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2006年07月08日

垂直の記憶  

2005年の11月末に「エベレスト 非情の最高峰」を読んで以来、エベレスト関連の多くの書物を読み、IMAX映像も手に入れて観賞しました。
エベレスト漬けになると、日常では感じられない緊張感の連続を味わう内容なのですがその内容の多くが死であり、決して活力を生んでくれなかった。

そこで1年前に読んで深く記憶に残っている山野井泰史氏の「垂直の記憶」をもう一度読み返してみました。奇跡の生還の記録。


やはり何度読んでも「第7章 生還 ギャチュン・カン北壁」が凄い。これについては改めて語る必要は無いでしょう。
WEBで山野井氏のことを調べていたら「山野井通信」というレポートを不定期にアップしていることがわかった。ギャチュン・カンでの凍傷で手足の10本の指を失い失意していたのですが中国のボタラという巨大な壁に2度目の挑戦で成功したことを知りました。
  
そして自著ではないのですが沢木耕太郎氏が山野井氏のギャチュン・カンでの登頂、生還を書いた本「凍」が2005年、9月に発行されていたことを知ります。
迷わず注文して1月中旬から読み始めました。




垂直の記憶では第7章でだけ記述されていたギャチュン・カンのことが「凍」ではまるまる1冊、全編で詳細に書かれているのです。
確かに山野井氏本人による執筆ではありませんからどんな進め方でどんな文体なのか不安はありましたが、ごく自然に本に引き込まれました。テレビで言うところのドキュメンタリーだと思えばいいでしょう。沢木氏が誇張のない文体で過酷な状況を書き綴っていく、それがかえってもの凄い緊張を感じさせるのです。

垂直の記憶を読んで計りかねていたのは奥さんである妙子氏の実力でした。山野井氏とともにギャチュン・カンを登り(登頂は出来なかったが)、何度も雪崩に襲われた緊急時でも弱さを感じさせないこの人は一体?
「凍」では全編に妙子氏の強さの記述がちりばめられていました。クライマーとしては世界の中でも女性では1番と言っても過言ではない人物だったのです。山においても日常生活においてもその人間性は「偉人」と言ってもいかもしれない。この夫婦が世界最強のクライマーであると私は決め付けた。これからも無事であることを祈る。


「凍」の中で気になる記述があった。山野井氏はスロヴェニアのクライマー、トモ・チェセンがローツェ南壁の単独登攀に成功していないのではないかと感じているということだ。その文章にクライマー独特の息遣いが感じられないという理由のようだ。
ちょうど図書館にトモ・チェセンの著書があったので借りてみた。
  
  
おもしろい。トモ・チェセンの文章ではなく、ローツェ南壁単独登攀の真偽に対する論争をまとめた部分が皮肉なことにこの本の面白さとなっているのではないか。
本の半分がトモ・チェセンが自分で書いた登攀記。残りの半分は日本人クライマーが書いた「ヒマラヤ・クライミングの進展」というレポと、さらに日本人が書いた「疑惑の譜系」という異様な構成の本だった。

実は私はトモ・チェセンの登山記の部分は読まずに後半の「疑惑の譜系」を読むことで夢中になてしまった。なんとなくこの歴史的登頂は黒に近いグレーかなと思う。残念なことだが。








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Posted by カルバリヲ at 23:07│Comments(0)
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